写真
写真
写真

08 交通技能[保線]

ミリ単位の調整で線路を保守。「何も起きないこと」に価値がある。
福田 英治 Hideharu Fukuda 建設工務部大島保線管理所 2013年入局

志望動機 / 転職へと背中を押してくれた草野球仲間の助言

写真

もともと自動車やバイクを触ることが好きで、自動車整備の専門学校を卒業後、車の板金塗装の仕事をしていました。望んで就いた仕事だったものの体力的にはかなりハードで、年齢を重ねても長く続けていけるのか不安を感じていました。そんなとき、電車の保線という仕事があることを知ったのです。きっかけは、趣味で参加していた草野球のチームに、たまたま東京都交通局で保線に携わる先輩職員がいたことでした。その方は、野球を通じて私が細かい部分にも目を向ける性格であることを普段から見てくれて、保線の仕事はきっと合うはずだから採用試験を受けてみてはどうかと勧めてくださいました。それまで特に鉄道に興味はなく、ましてや保線についての知識や経験はまったくありませんでしたが、その言葉はすんなりと自分の中に入ってきて、挑戦することを決めました。幸いにも1度目の受験で合格することができました。

東京都交通局に入局して / トンネル内で風圧を体感し、安全確保の重要性を再確認

入局後、東京都交通局の研修所で座学研修を受けた後、4つある保線管理所それぞれでレール交換などの実技研修を受けました。実際にトンネルにも入り、そこで初めて、電車が通過する際の強い風圧を体感して圧倒されました。現在の職場に配属されてからは、班の先輩から作業の基本を学んでいきました。
昼間の巡視は2人1組で行いますが、お互いの信頼関係が非常に重要になります。声を掛け合い、電車の接近に備えて早めに退避する必要があるからです。最初のころは、先輩に電車の接近を教えられても、私の耳にはそれらしい音が聞こえない、というケースもよくありました。次第に、遠くから近づく走行音やヘッドライトの光、走行に伴う風などのわずかなサインを感じ取り、判断できるようになりました。研修中も今も、小さなノートを常にポケットに入れ、教わった内容や、各作業に必要な工具の種類などをこまめに書き留めるようにしています。

私の仕事 / 徒歩で線路を巡視して不具合の有無を入念にチェック

大島保線管理所は都営新宿線の線路や施設の保守管理を担っています。線路の保守を行う保線区、トンネルや駅などの構造物を受け持つ施設区、維持管理計画に携わる工務区があり、私は保線区に所属しています。日勤勤務と泊まり勤務の交替制で、日勤の業務は主にトンネル内の巡視・点検作業です。泊まり勤務では、深夜の補修工事作業に携わり、不具合箇所の補修やレールの交換などを行います。
鉄道の線路というのは、その上を重量のある電車が毎日高速で走り抜けるため、ボルトの緩みや金具の損傷が生じる場合があります。徒歩巡視では、点検ハンマーによる打音調査で不具合の有無を確認し、必要に応じてボルトを締めるなどの作業を行います。また、電車の走行時にレールから異音がしている場合には、金具が損傷していないかなどを確認します。その最中も電車は往来しているため、電車の接近に注意し、安全の確保に細心の注意を払いながら業務に臨んでいます。

写真

仕事のやりがい / 作業の結果が、変化となって表れる喜び

この仕事で一番うれしいことは、「何も起きないこと」だと言えるかもしれません。わずかな不具合も見逃さず補修することで、故障を未然に防ぎ、1日を終えられた時には達成感を覚えます。そうした「何でもない1日」を、1週間、1カ月、1年と積み重ねていくことに私はやりがいを感じています。
もう一つの喜びは、自分が手掛けた作業の結果が、変化となって表れることです。例えば電車の通過時に異音が生じていた場合に、その原因を突き止め、適切な補修を行うことで、異音をなくすことができ、乗り心地も改善することができます。都営交通をより良くすることに貢献できているという手応えがあります。
都営地下鉄の保線現場における安全基準や作業手順ルールは、とても厳しいと工事の受注者の方に聞いたことがあります。そうした安全への高い意識のもとで、電車の走行を日々支えていることに誇りを持っています。

将来の目標 / ミリ単位の違いも見抜ける熟練技術者を目指して

写真

保線のエキスパートを目指して、さらに技術力を磨きたいという思いが今は強くあります。線路の保守作業で最も難しさを感じるのは、レールの測定です。2本のレールの間隔(軌間)が規定通りになっているか、高低差が生じていないか、まっすぐになっているかなどを、専用の計器を使って点検し、ミリ単位で調整をします。長年経験を積んできた先輩は目視だけで「少し高いな」「曲がっているな」と瞬時に見抜くのですが、私はその域にはまだまだ達していません。先輩からできるだけ多くのことを学びながら、技術や経験を積み重ねていきたいと思います。4人体制の班の中で、経験が短く、最も若い私はこの先、後輩ができたときには、質問に的確に答えられる先輩でありたいですね。

応募される皆さんへ / 知れば知るほど奥が深い仕事です

保線の仕事は、一般にはなじみの薄いものだと思います。私自身も入局するまで、電車の線路を意識したことはありませんでした。しかし実際に携わってみると、とても奥が深い仕事だと感じます。今では、他の鉄道路線も含めて、線路の形状を普段から観察するクセがつき、通勤の電車内でも走行音に耳を傾けてしまうほどです。
巡視では、いつもと違うところを見つけることが重要になりますから、細かな観察力を持った人は向いていると思います。また、わずかな気の緩みも大事故につながりかねないため、集中力も求められます。円滑なチームワークのためのコミュニケーション力、限られた時間内で作業をやり遂げる体力や持久力も大切です。
保線は表に立つ仕事ではありませんが、見方を変えれば、普通に生活していては見られない舞台裏の世界に足を踏み入れられるということ。線路も、そして保線の仕事も、電車の運行に絶対に欠かせないものであり、そこにもやりがいを見いだせると思います。

写真

ある一日のスケジュール

12:00過ぎ

出勤

更衣室で作業着に着替えます。安全のために、反射材のついたベストと安全靴を着用します。

12:45

始業

この時間から勤務スタートです。
今日1日の作業内容を確認し、点呼まで待機します。

13:05

始業点呼

点呼を受け、今日1日の作業内容を報告。「安全網領」を職員全員で唱和した後、ラジオ体操で体をほぐします。

13:20

ミーティング

夜間作業を事故なく円滑に進めるために、工事の受注者も交えて確認を行います。

13:30

仕業点検、軌道調査など

夜間作業で使用する工事用の車両(保守用車)を昼間のうちに点検・整備し、夜間作業中の故障を未然に防ぎます。軌道調査では、日々の徒歩巡視で不具合が見つかった箇所を詳細に調査し、今後の補修計画を立てます。

16:45

夜間作業ミーティング

夜間作業に出る職員が集まってミーティングを行います。保守用車の出発する順番や夜間の作業内容を全員で再確認します。

17:30

休息

18:30

書類作成

昼間の軌道調査等の結果を記録し、今後の補修計画を作成します。

20:15

休息

夜間作業開始まで2時間程度の休息をとります。

22:30

夜間作業
(直営作業または工事立会)

直営作業(自分たちで行う作業)では、昼間にできない軌道調査や点検を行ったり、自分たちでレールを交換したりします。大規模な補修の場合は工事の受注者が行い、その監督の立場で現場に立ち会います。

5:45

休息

7:00

書類作成

次の班に円滑にバトンタッチするために、昨晩の作業内容をまとめます。

8:45

業務終了