江戸時代の巣鴨は、中山道を行く旅人の休み処(立場)として栄えた下町情緒あふれる街。眞性寺の江戸六地蔵尊、明治時代に上野から移転した高岩寺のとげぬき地蔵尊、そして庚申塚に護られた信仰の街でもあります。お参りしながらのさんぽを楽しみましょう。
江戸時代、針を誤飲した女性に御影を飲ませると、針が御影の地蔵尊影を貫いて出てきたのが「とげぬき」の由来です。本尊の延命地蔵菩薩(とげぬき地蔵尊)は、正面の本堂に奉安されている小さな霊印に現れた尊像です。その写し「御影(おみかげ・おすがた)」を本堂内で授与しています。境内には身体の患っている部分を洗うと良くなるとされる「洗い観音」も。
江戸時代、茶店が置かれるなど中山道の立場(休憩所)として栄えた巣鴨庚申塚。花や紅葉の名所である王子・飛鳥山に到る分岐点に位置し、かつては道しるべを兼ねた庚申塔が立っていました。現在、庚申堂には日本神話に登場する猿田彦大神を合祀しています。天照大神に遣わされたニニギノミコトを道案内したという神話から、旅人の神様とされています。長命、疫神退散のご利益があります。
江戸六地蔵は、江戸六街道の出入り口に造立された地蔵尊のひとつです。境内左手に大きな傘をかぶった銅造の地蔵菩薩坐像が鎮座。眞性寺は1615(元和元)年に中興開基され、本年は中興開基400年を迎えます。地蔵尊が完成したのは1714(正徳4)年で、昨年は地蔵開眼300年でした。毎年6月24日には「江戸六地蔵の百萬遍大数珠供養」が行われます。全長16m、541個の桜材の珠からなる大念珠を信者らが念仏を唱えながらまわし、江戸六地蔵を供養します。
巣鴨庚申塚と江戸六地蔵尊を結ぶ、全長約780mの商店街。中ほどにはとげぬき地蔵尊高岩寺があり、巣鴨名物の塩大福の老舗をはじめ、漬物屋、鰻屋、衣料品店など約200店が軒を連ねています。毎月4のつく日は縁日が立ち、多数の露店が出て大にぎわいとなります。
館長の千原昭彦さんが25年にわたって描いてきた、全国の歴史的な建物や町並みの絵画六十数点を展示する小さな美術館。時を重ねてきた古い町並みが、ドローイングペンと水彩絵の具で描かれています。同じような影でも、山あいの町と下町では巧みに色合いを変え、見応えがあります。日本の建築文化の幅広さも感じとることができます。
「おばあちゃんの原宿」の入り口にあたる都営三田線巣鴨駅のエスカレーターはとってもゆっくり動きます。A3出口のエスカレーターで安全に移動してください。
都電荒川線の停留場のなかでも庚申塚停留場はレトロな雰囲気が人気です。木造の小さな停留場には丸電気がついています。