インドの邪神が釈迦によって改心し、安産と子育ての神となったと伝えられる鬼子母神。雑司が谷鬼子母神堂の像は、永禄4年(1561年)に清土(文京区目白台)のあたりで掘りだされ、東陽坊に納められたものです。また、雑司が谷の鬼子母神像は鬼形ではなく、羽衣と瓔洛(ようらく)をつけ、吉祥果(きちじょうか)を持ち幼児を抱いた菩薩形の美しい姿をしているのが特徴で、角(つの)のつかない鬼の字を用いて尊称されています。本殿は寛文4年(1664年)に安芸藩主浅野家に嫁いだ加賀藩主前田利常の息女の寄進により建立されたもの。豊島区内で最古の建造物です。
鬼子母神堂への参道は石畳の並木道が続きます。両側の古い路地は都内でも有数の古い町並みで、かつて手塚治虫が住んだと言われる並木ハウスもこの路地に建っています。ケヤキの大樹は天正年間に雑司が谷村の住人が鬼子母神へ奉納したものと言われ、樹齢400年を数えます。江戸時代末期の弘化元年(1844年)に、江戸城本丸普請のために伐採されそうになったのを鬼子母神堂や周辺住民が中止を訴え、伐採されずに残ったものです。
けやき並木の中ほどに位置する案内処。昭和初期に建てられた並木ハウス別館の1階にあり、各種観光案内や散策コースの紹介、パンフレットの配布、グッズ販売などを行っています。2015年12月には、雑司が谷が日本ユネスコ協会連盟の未来遺産に登録されて1周年になるのを記念して、新たにケヤキが植樹されました。2階のギャラリーで、1月11日には箏と尺八による新春コンサートが開催されます。親切なスタッフがまちあるきのアドバイスをしてくれるので、まずは立ち寄ってみましょう。
豊島区のシンボルになっている「ふくろう」。区立小学校の一室に設けられたこちらの資料館では、石・木・ガラス製の多彩な置物や、彫刻、玩具などふくろう・みみずくに関する様々な品々を見ることができます。故飯野徹雄東大名誉教授のコレクションを中心に、ふくろうやみみずくの「生活、イメージ、かたち」の3つのテーマに沿って、200点から300点ずつを順次公開しています。開館は学校が休みの土・日曜に限られます。
雑司が谷七福神は、雑司が谷の町おこしのために南池袋1丁目町会長が「雑司が谷七福神の会」を結成したことにはじまりました。2011年初詣より「七福神めぐり」がスタート。雑司が谷鬼子母神が掘り起こされた清土出現所を基点に、年初の福を訪ねながらめぐってみましょう。