都内では、その土地の歩みとともに育まれてきた名物料理が各地に根付いています。
昔ながらの伝統料理から、素朴で庶民的な一品まで、「ご当地の味」を探しに都営交通で出かけてみませんか。
たっぷりの野菜と12種のスパイス、柔らかく煮込んだ大きいチキンが食べ応え十分のチキンカレー。
(カリーライス専門店 エチオピア)
安くてお腹いっぱい食べられるカレーを提供するのがモットー。2種類のカレーとナン、ライス、サラダが付いたセットは一番人気。
(シディーク神保町店)
神保町界隈には明治以降に学校が相次いで創立され、それに伴って書店街が誕生。1913年、今に続く岩波書店の前身となる古書店を皮切りに多くの書店が開業すると飲食店も増え、メニューにカレーを掲げる店が出てきました。学生が本を片手に気軽に食べられるものとしてカレーが根付いたのかもしれません。
庶民の味として定着した料理も、かつては憧れのメニューでした。(写真はイメージ)
昔ながらの洋食の味を楽しめる街、銀座。
歌舞伎座の出演者や来場者など、舌の肥えた趣味人に愛される洋食屋が数多く店を構えています。長い歴史を持つ老舗のほか、ボリュームあるメニューを出す庶民的なお店もあります。
今では海鮮や餅、チーズなど、もんじゃ焼きに加える具材もバラエティ豊か。(写真はイメージ)
生地が流れて広がらないように具材で土手を作るのはもんじゃ焼きのお約束。(写真はイメージ)
月島は明治の中期に隅田川河口の中州を埋め立てた土地が発祥で、三軒長屋が密集する下町として発展しました。路地で営んでいた駄菓子屋が鉄板の焼台を置いて、メリケン粉(小麦粉)を薄く焼いたものに醤油や蜜をつけて食べさせたのがもんじゃ焼きの始まりとされています。今ではバラエティに富んだ多くのメニューが誕生しています。
昭和12年創業、老舗の味は上品な鶏ガラ出汁に鶏肉やレバー、豆腐、野菜をふんだんに使った名代ちゃんこ。
(ちゃんこ川﨑/[TEL]03-3631-2529)
食べ応えある鶏豚ミンチは逸品。こんにゃくやたっぷりの野菜とこいくち醤油を合わせた鶏ガラスープでいただくしょうゆちゃんこ。
(相撲茶屋 寺尾/[TEL]03-5600-1466)
相撲の起源は古く日本書紀にも記載がありますが、相撲を生業とする人たちが現れたのは江戸の頃。両国に建立された回向院で歓進相撲が催され、両国の街と相撲の結びつきが深くなっていったとされています。
ちゃんこは本来、相撲力士の食事のことを指し、今では相撲の街として栄えてきた両国の歴史的資産です。
栄養素をたっぷり含んだアサリを使った深川めしは、深川発祥の伝統的健康食。(写真はイメージ)
写真提供:江東区観光協会
江戸の頃、江東区周辺に広がっていた砂州・深川浦ではアサリが捕獲できたといいます。漁師は獲れたアサリやアオヤギを煮て冷や飯にかけた「ぶっかけめし」を賄いにし、それが深川めしのルーツだそう。いっぽう家庭では同じようにアサリを使った「炊き込みご飯」が普及。かつて深川で日常的に食べられていたこれらが、今でも和食店や蕎麦屋でいただけます。