- 運転訓練車
- 東京都交通局では、安全・安心で事故のない都営交通を目指して、さまざまな取組を行っています。例えば都営バスでは、更なる安全対策を講じるため、乗務員に対する指導・教育の充実を図ることを目的とした運転訓練車を導入し、効果的・実践的な研修に取り組んでいます。
2009年度より運用していた訓練車はその役目を終え、2022年度に新車に更新されました。今回は、更新されたばかりの新しい訓練車について、ご紹介します。
車両の特徴
この車両の特徴は大きく分けて2つあります。1つは、この訓練車を活用することにより、個々の運転状況の記録が可能になり、乗務員の“運転の癖”を客観的かつ具体的に確認することができること。もう1つは、記録した走行データや映像を、後から乗務員が確認することができるので、運転についての注意点や改善点を乗務員自ら認識することができることです。
訓練車の設備を詳しく見ていきましょう。
- 車両のフロントバンパー部と右側面には、車外の障害物に見立てたLEDランプが設置されています。これは、発車時などにLEDランプを点灯させ、ランプが点灯した時に乗務員に申告させることで、発車の際に車外の安全確認を行っているかを確認しています。
- 運転手寄りのフロントガラスには、カメラが設置されています。このカメラは、運転席周りの映像と音声を収録することで、乗務員の運転姿勢・ハンドル操作・接客態度・マイク活用等をチェックできるようになっています。
- 乗務員は、カメラの付いた帽子を被ります。“アイマークレコーダー”と呼ばれるこの装置は、乗務員の視点や視線を常に計測しています。これは、乗務員が走行中に注意すべきところを見ているか、万遍なく注意を払っているかを確認するためのもので、従来のドライブレコーダーにはないものであるため、事故防止の指導に効果的で、この訓練車の一番の売りになっています。
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バスの前面には、距離センサーが付いています。前の車との車間距離を計測することで、緊急時においても安全に停車できる車間距離を保っているかどうかをチェックしています。
- 車両の左前方にはカメラが付いています。このカメラも、レンズを後ろに向けて撮影することで、乗務員が左側の状況を常に把握し、安全確認を適切に行っているかを確認しています。
- 左側方の2か所にも距離センサーが付いています。これは、バスが自転車や駐車車両等の横を通る際の間隔を確認するためのものです。
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車内後方通路と降車口付近には、お客様に見立てたLEDランプを設置しています。乗務員はランプの点灯に気付いた時にその旨を申告することになっています。これによって、乗客の動向や扉操作時に車内の安全確認を行っているかを確認することができます。
- 車両の中央部には加速度センサーが設置されており、車内の揺れを常に計測しています。このセンサーは、感知した車内の動揺が0.2Gを超えると警告音が鳴る仕組みになっていて、乗務員の発進・停止・右左折が適切に行えているかを確認するために用いられています。
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車両の前方・中央・後方にはモニターが取り付けられています。このモニターでは、今まで紹介した様々なデータがリアルタイムで画面に表示することができるほか、記録されたデータを再生することも可能です。
このように、運転訓練車を活用することにより、効果的・実践的な研修を実施することで、乗務員の運転技術の向上を図り、安全・安心の確保に努めています。
次回は、交通局職員研修所の担当者から聞いた運転訓練車の活用のポイントについてご紹介します。“運転の癖”とは何か、普通車を運転する際に役立つ話もありますので、どうぞお楽しみに!