
木漏れ日が心地よい緑道沿いに、目を惹く白と青の暖簾。本日訪れるのは、早稲田にお店を構える和菓子屋「和菓子nanarica 〜七里香〜」。光が綺麗に差し込む明るい木彫の店内は、和洋折衷でモダンな雰囲気だ。
お店のモチーフとなる沈丁花(じんちょうげ)の別称である『七里香』は遠くまで甘い香りが広がる花。沈丁花のようにこのお店が遠くまで知れ渡り、和菓子の甘みが口の中でふわっと広がるようにと思いを込めて店名とされたそう。
お店のコンセプトは“伝統と革新”。昔ながらの製法を守りつつ、新しいエッセンスを加えた現代的でユニークな和菓子を展開している。素材の厳選・製法はもちろん、見た目の可愛らしさまでとことん追求した和菓子のラインナップ。幻想的なブルーのグラデーションが美しい最中、季節限定の白桃菓、ふっくらと愛くるしい豆大福…、表情豊かな和菓子達を眺めているだけでも目尻が下がってしまう。

最中〜moonlight〜(210円)、
白桃菓(324円)、豆大福(216円)
※右上から時計回り。季節によって内容は変わります。
全ての和菓子が毎朝職人さんの手によってひとつひとつ丁寧に手作りされている。毎日、できたてのおいしさに出会えるなんて贅沢だ。街に根付いたお店だからこそ、とことん和菓子に向き合い、細部までこだわりを表現できる。まるで和菓子ラボのような七里香の出立ちは、お菓子屋さんの原点の姿勢である。
手土産におすすめなのは、日持ちもする本練り羊羹のセット。開けるのが勿体無いほどキュートにパッケージされている。コンパクトながら重厚感のある本練り羊羹は、北海道産の小豆、氷砂糖、寒天のみを使用し、胴釜で練り上げたハードタイプの羊羹。シンプルだからこそ、嘘がつけない。奥行きのある控えめな甘さは気品高く、七里香の真心が伝わってくる。ここが幅広い層に愛される理由は、この一口が答えだ。
はじめてお目にかかる、ころころとしたキューブ型が愛らしい干し羊羹。上品な小豆の甘さが優しく広がった後に、しゃりしゃりとリズミカルな氷砂糖の食感がなんだか癖になる。定番だけど、新しい。五感が喜ぶ発見。アート鑑賞のように、受け手を満たしてくれる、おいしいクリエイティブがここにはある。
七里香によって丁寧に紡がれた技術とアイディアは、手に取ったあなたをきっと笑顔にしてくれるだろう。


- 和菓子nanarica ~七里香~わがしナナリカ 〜ななりか〜
- 電話:03-6233-8477
- 住所:新宿区早稲田鶴巻町111
- 営業時間:10:00~18:00
- 定休日:水曜
- アクセス:東京さくらトラム「早稲田」停留場から徒歩8分/都営バス[白61]「榎町特別出張所前」停留所から徒歩5分
- Instagram:@nanarica77

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- 村田倫子Rinko Murata
- @rinco1023
- アパレルブランド「idem」のディレクターとして多数の商品プロデュースを手がける他、ファッション雑誌をはじめ、大型ファッションショー・ラジオ・広告への出演、自らのコラム執筆など幅広い活動を行っている。Instagramのフォロワー数は37.4万人。