
小さな下町に、ふと香ばしいチーズの香りが漂う一角がある。イタリアの産地指定チーズをふんだんに使用した、ちょっと贅沢なチーズ菓子専門店「チーズケイベリィ東京」。扉を開けると、芳醇なチーズの香りと、焼きたてのお菓子の甘さが混ざり合い、思わず深呼吸したくなる。

お客様は実にさまざま。自宅用に一つ買い求める方、誰かへの贈り物に詰め合わせを選ぶ方、今日はワインに合わせたいからとスタッフに好みを相談する方。甘さ控えめなものから、お酒に合うディープな味わいまで、どの年代も楽しめるラインナップがそろうのも魅力の一つ。試食をしながら、「これならお父さんに」、「あの人への手土産にちょうどいい」と話す姿もまた、この店の風景のひとつだ。
中でもひときわ存在感を放つのが、「チーズケーキクラウン(ディープテイスト)」。トッピングはベーシック・マスカルポーネ・フルーツから選ぶことができイタリアの産地指定チーズ“パルミジャーノ・レッジャーノ”や“ゴルゴンゾーラ"などこだわりの3種のチーズを使用している。
熟成チーズの深いコクと旨み、そこに付属の蜂蜜シロップをそっとかければ、チーズの塩味と蜂蜜のまろやかな甘さがとけあい、絶妙なバランスに思わずうっとり。冷えた白ワインや、日本酒をペアリングしたくなるような贅沢すぎる濃厚さは、大人の夜にそっと寄り添う味わいだ。

チーズカヌレ 378円
もうひとつ、この店で隠れファンの多い「カヌレ」。外は香ばしく、中はもっちり。王道のカヌレの食感を大切にしながら、シーズンごとに旬のフレーバーを展開している。チーズカヌレは、プレーンタイプに生クリームを添え、ホワイトチョコレートで優しくコーティング。その上にふわりと削られたパルミジャーノ・レッジャーノ。カリッとした食感のあとに、ミルキーで甘じょっぱい余韻が口の中に広がる。チーズの香ばしさと、ホワイトチョコの優しい甘さのバランスが絶妙で、苦手だと思っていた人も「これなら」とリピーターになるのだそう。
この店には、商品を通して生まれる“縁”がある。以前、贈り物としてお菓子を受け取った方が、後日「とてもおいしかったから」とわざわざ足を運んでくれたこともあるとか。味をきっかけに、想いが連鎖しつながっていく。そんな出来事が、この店のスタッフにとっても何よりの喜びだ。
気取らず、それでいて上質。日常の中にささやかな贅沢と、大人の遊び心を届けてくれる「チーズケイベリィ東京」。今日もまた、この町のどこかで、誰かの心と味覚をそっと満たしている。


- CHEESE CAVERY TOKYO 一之江本店チーズケイベリィトウキョウ いちのえほんてん
- 電話:03-5879-4295
- 住所:江戸川区一之江7-31-7 嶋田ビル1F
- 営業時間:10:00〜19:30
- 定休日:無休
- アクセス:都営新宿線「一之江」駅A3a出口から徒歩4分/都営バス[新小22][亀26][新小29][新小29-2]「一之江四丁目」から徒歩2分

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- 村田倫子Rinko Murata
- @rinco1023
- アパレルブランド「idem」のディレクターとして多数の商品プロデュースを手がける他、ファッション雑誌をはじめ、大型ファッションショー・ラジオ・広告への出演、自らのコラム執筆など幅広い活動を行っている。Instagramのフォロワー数は37.7万人。