- PROFESSIONAL WORKER ENCYCLOPEDIA
- Vol.08 車両電気部

浅沼幸喜さん(あさぬま・こうき)(右)
大貫健治さん(おおぬき・けんじ)(左)
使うだけでなく、つくる。
半世紀以上続く交通局の水力発電を
守り支える二人
エコでクリーンな再生可能エネルギーとして注目される水力発電。実は、交通局が半世紀以上前から多摩川の流水を活用した水力発電に取り組んでいることをご存じでしょうか?
交通局の電気事業は、1911(明治44)年、路面電車の運営と火力発電を行う東京市電気局が発足したことに始まります。現在は多摩川上流にある多摩川第一、多摩川第三、白丸の3つの発電所で水力発電を行い、発電した電力は都営バスの全ての営業所などで使用されています。そんな交通局の意外な一面ともいえる電気事業を支えているのが、浅沼さんと大貫さんです。
浅沼さんが副所長を務める発電事務所は、多摩川第三発電所に併設され、3つの発電所と白丸調整池ダムの保守管理、運用などを行っています。「水が流れている限り動き続けるのが発電設備。多摩川第一と多摩川第三は運転開始から約60年経っているので、故障や不具合にはやはり気を遣いますね」(浅沼さん)。大貫さんは、発電事務所をバックアップしながら、対外調整や地域との連携窓口としての役割も担っています。「発電所やダムは地元自治体や住民のみなさんのご理解あってのもの。良い関係をつくり、一緒に事業を進められるよう努めています」(大貫さん)。
二人がバトンをつないだ
再生可能エネルギーPR館
昨年、交通局の電気事業と奥多摩エリアの魅力を発信する再生可能エネルギーPR館(エコっと白丸)が白丸調整池ダムにオープンしました。「このPR館は、私が構想や設計を担当して、その後を引き継いだ大貫が形にしたものなんですよ」と浅沼さん。浅沼さんと大貫さんは同期入庁で、20代からの付き合い。二人の思いがこめられたPR館は奥多摩散策の立ち寄りスポットとしても人気を集め、11月には開館1周年イベントが企画されています。「エコな電気をつくっていることを紹介しながら、これからもみなさんに喜ばれる施設に育てていきたいですね」(大貫さん)。電気を使うだけでなく、つくる。長年交通局が取り組んできた事業は、さらに未来へつながっていきます。
PICK UP SCENE!

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My Work’s Spirit is...

事業を俯瞰で見て調整する バランス感覚が大事(浅沼さん)
技術職では、よく建設工事を人体にたとえて、骨格が土木、神経や血管が電気、表に見える皮膚が建築と言ったりしますけど、人体と同じでバランスが崩れると必ず不具合が生じる。その調整がうまくできずに痛い目を見たことがあって、全体を俯瞰で見ることを常に意識しています。今後、白丸ダム監視所の設備移設、多摩川第一発電所の設備更新など大きな事業を控えているので、滞りなく進めていきたいですね。
壁をつくらずざっくばらんに。 一体感がいい仕事につながる(大貫さん)
だれとでも壁をつくらずに仕事をしたいと思っています。発電事務所とは距離が離れていますが頻繁にやり取りをしていますし、PR館の運営に協力してくださる奥多摩観光協会や自治体の方とも、気軽にご意見をいただける関係でありたい。今年の夏、地域の方々と協力してPR館で特産のわさびジェラートを販売したら、とても好評だったんです。これからもみなさんと一体感を持って事業に取り組んでいきたいです。