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交通局経営レポート

経営の状況

交通局は、(1)高速電車事業会計<都営地下鉄>、(2)交通事業会計(I.自動車事業<都営バス>、II.軌道事業<都電荒川線>、III.新交通事業<日暮里・舎人ライナー>、IV.懸垂電車事業<上野動物園モノレール>)、(3)電気事業会計<発電>の3つの会計を設け、地方公営企業法に基づいてそれぞれの事業を経理しています。
平成22年度は、都営地下鉄、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナー、モノレールの5事業合計で約10億9,100万人(一日当たり約299万人)のお客様に御利用いただきました。
収支面では、都営地下鉄が約90億8,000万円、都営バスが約10億900万円、モノレールが約2,300万円、都電荒川線が約400万円の経常黒字となり、日暮里・舎人ライナーが約18億3,400万円の経常赤字となりました。
電気事業は、約15万5,000MWhを発電。約1億1,500万円の経常黒字でした。

平成22年度 運輸成績総表

平成22年度 決算総括表(税抜)

平成22年度 損益計算書

平成22年度 貸借対照表

おかげさまで都民の足100周年


銀座界隈を走る都電

東京都交通局の歴史は、明治44[1911]年8月1日、東京市が電気局を設置し、軌道事業(路面電車)と電気事業(火力発電)を開始したときに遡ります。
その後、関東大震災によって壊滅的な打撃を受けた路面電車の応急措置として、大正13[1924]年に自動車事業(乗合バス)を開始。戦後は、昭和32[1957]年に懸垂電車事業(上野動物園モノレール)と電気事業(水力発電)、昭和35[1960]年に地下鉄事業(浅草線)を開始しました。
以降、昭和43[1968]年に三田線、昭和53[1978]年に新宿線、平成3[1991]年に大江戸線を開業させ、交通ネットワークを拡充してきました。さらに、平成20[2008]年に新交通事業(日暮里・舎人ライナー)を開始し、現在に至っています。
様々な時代を経て、都営交通は平成23[2011]年に創業100周年を迎えました。

財務指標

企業の経営活動の結果は決算に集約されます。交通局の経営状況を客観的に評価するため、決算の数値に基づいて、財務に関する指標を算定しました。指標については、安定した事業運営の基本である収益性、効率性、健全性の観点から選定し、あわせて、独立採算のもと乗車料収入等がどのように使われているのか、単位当たりの収入と費用の分析も行いました。

注)指標・数値は税抜。

注)日暮里・舎人ライナーについては、平成19年度の営業日数が2日(20年3月30日開業)のため、一部の指標を算出していません。

(1)営業収益【収益性】

売上に相当し、乗車料、電力料、関連事業収入等が含まれます。

単位:百万円

事業 19年度 20年度 21年度 22年度
都営地下鉄 132,181 133,960 132,223 130,237
都営バス 36,643 36,034 35,595 35,106
都電荒川線 2,532 2,497 2,445 2,692
日暮里・舎人ライナー 32 3,351 3,653 3,937
モノレール 116 103 102 96
発電 930 957 881 940
関連事業(再掲) 11,253 11,432 10,816 10,028

【参考】乗車人員・販売電力量

単位:千人/年(発電はMWh)

事業 19年度 20年度 21年度 22年度
都営地下鉄 838,511 852,980 850,373 848,668
都営バス 208,717 206,559 205,089 202,132
都電荒川線 19,300 19,035 18,610 18,074
日暮里・舎人ライナー 156 17,864 19,975 21,488
モノレール 903 839 855 804
発電 116,566 145,175 91,727 155,203

【都営地下鉄】
乗車人員が減少したため、営業収益は減少となりました。
【都営バス】
乗車人員の減少傾向が続いており、営業収益は減少しました。
【都電荒川線】
乗車人員が減少傾向にあるものの、賃貸料の増等により営業収益は増加しました。
【日暮里・舎人ライナー】
乗車人員の伸びに支えられ、営業収益も着実に増加しました。
【モノレール】
震災後の節電対策による営業休止等の影響により、営業収益が減少となりました。
【発電】
販売電力量の増により、営業収益は増加しました。
【関連事業】
景気低迷の影響により広告料収入が落ち込んだため、減少となりました。

営業収益の推移

(2)経常損益【収益性】

企業の継続的な活動による損益で、本業の損益に財産収入や支払利息等を加えたものです。

単位:百万円

事業 19年度 20年度 21年度 22年度
都営地下鉄 10,972 13,969 12,169 9,080
都営バス 2,060 768 773 1,009
都電荒川線 46 ▲ 45 ▲ 93 4
日暮里・舎人ライナー ▲ 1,552 ▲ 1,783 ▲ 1,780 ▲ 1,834
モノレール 47 16 25 23
発電 26 145 22 115

【都営地下鉄】
乗車料収入が減少したものの、減価償却費や支払利息等の費用が減少しており、平成18年度から引き続き経常利益を計上しました。
【都営バス】
乗車料収入が減少し、人件費等の費用が減少したため、経常利益を確保しました。
【都電荒川線】
乗車料収入が減少し、車両更新に伴う減価償却費等の費用も増加しましたが、賃貸料収入の増等により、経常利益を計上しました。
【日暮里・舎人ライナー】
開業して間がなく、減価償却費や支払利息の負担が大きいことから、経常損失を計上しました。
【モノレール】
節電対策で3/12以降の運転を休止したため、乗車料収入が減少したものの、経常利益を計上しました。
【発電】
販売電力量の増により営業収益が増加したことから、経常利益を計上しました。

経常損益の推移

(3)経常収支比率【収益性】

運行等に要する直接的な費用や施設等の減価償却費用に加え、支払利息等を含む経常的な費用が収益によりどの程度まかなわれているかを示します。
値が大きいほど収益性が高く、100未満は費用が収益によりまかなえず、経常損失が生じていることを意味します。

単位:%

事業 19年度 20年度 21年度 22年度
都営地下鉄 108.1 110.4 109.3 106.9
都営バス 105.3 102.0 102.0 102.7
都電荒川線 101.8 98.3 96.4 100.1
日暮里・舎人ライナー 65.6 67.4 68.6
モノレール 163.5 116.1 133.9 130.3
発電 102.9 117.6 102.5 113.8

注)(営業収益+営業外収益)÷(営業費用+営業外費用)×100

【都営地下鉄、都営バス、都電荒川線、モノレール、発電】
年度によって変動はあるものの、100を超えています。
【日暮里・舎人ライナー】
減価償却費や支払利息の負担が大きく経常損失を計上しているため、21年度に引き続き100を下回っています。

経常収支比率の推移

(4)累積欠損金比率【収益性】

乗車料等の営業収益に対して、過去の「赤字」の累積である累積欠損金が何倍(100=1倍)に相当するかを示します。

単位:%

事業 19年度 20年度 21年度 22年度
都営地下鉄 350.8 330.9 325.9 323.7
都営バス 4.4 0.2 (なし) (なし)
都電荒川線 (なし) (なし) (なし) (なし)
日暮里・舎人ライナー 100.2 140.7 177.1
モノレール 1.1 (なし) (なし) (なし)
発電 (なし) (なし) (なし) (なし)

注)(累積欠損金÷営業収益)× 100

【都営地下鉄】
平成18年度以降、純損益で利益を計上していることにより徐々に改善しています。
【都営バス】
平成21年度に累積欠損金を解消しました。
【都電荒川線】
累積欠損金はありません。
【日暮里・舎人ライナー】
開業して間がなく、減価償却費の負担が大きいため、増加しています。
【モノレール】
平成20年度に累積欠損金を解消しました。
【発電】
累積欠損金はありません。

(5)職員定数【効率性】

東京都職員定数条例で定められた、交通局事業を運営するために任用できる職員数の上限です。業務の見直しや委託の拡大などの効率化により、平成13年度から10年連続で減少しています。

単位:人

指標 19年度 20年度 21年度 22年度
職員定数 7,284 7,034 6,784 6,684
職員定数の推移

(6)職員1人当たり営業収益【効率性】

職員1人当たりの乗車料等の営業収益を示します。値が大きいほど効率性が高いことを意味し、売上が増える(乗客数の増加など)か、職員数が減ることで増加します。

単位:百万円

事業 19年度 20年度 21年度 22年度
都営地下鉄 36.7 37.0 36.8 36.6
都営バス 14.0 13.8 13.7 13.5
都電荒川線 18.7 18.1 17.4 20.9
日暮里・舎人ライナー 42.4 46.0 47.6
モノレール 21.4 16.7 18.9 13.7
発電 25.2 29.7 31.0 34.3

注)営業収益÷職員数

【都営地下鉄、都営バス】
22年度は営業収益が微減しましたが、職員数の削減により、ほぼ横ばいとなっています。
【日暮里・舎人ライナー】
自動運転システムの採用などの効率化により、他事業と比べ値が高くなっています。
【都電荒川線、モノレール、発電】
営業収益の動向により増減が見られます。

職員1人当たり営業収益の推移

(7)資金不足比率【健全性】

事業規模に対する資金不足額の比率です。「財政健全化法」(平成19年度施行)に定める地方公営企業の健全性を示す指標で、会計ごとに公表することが義務づけられています。
値が大きいほど経営状態が悪化していることを意味し、20%を超えると経営健全化計画を策定する必要があります。

単位:%

事業 19年度 20年度 21年度 22年度
高速電車事業会計 (なし) (なし) (なし) (なし)
交通事業会計 (なし) (なし) (なし) (なし)
電気事業会計 (なし) (なし) (なし) (なし)

注)資金不足額÷(営業収益—受託工事収益)×100
※資金不足額:流動負債から流動資産を減じて所要の調整を行ったもの。
【全会計】資金不足はありません。

(8)単位当たりの収益と費用

各事業の費用構成を分析するため、事業活動のどの部分にどのくらいのコストをかけているかについて、乗客1人当たり(発電事業については販売電力量1キロワット時当たり)に換算して示したものです。収支のバランスを把握するため、乗客1人当たりの収益についても、運賃や関連事業収入(営業収益)と補助金や受取利息等(営業外収益)に分けて示しています。
なお、事業の仕組みが異なるため、費用構成を事業間で単純に比較することはできません。

都営地下鉄

平成22年度の乗客1人当たりの運賃・関連事業収入等は153.5円、火災対策やバリアフリー対策等に係る補助金等が9.5円で、合わせて163.0円の収益に対し、費用は大きな順に、減価償却費が50.1円、駅等の営業に係る経費が26.2円、支払利息が17.3円となっており、総費用は152.2円です。
地下鉄は、多額の投資を必要とする施設等の償却の負担が大きく、借入(起債)によりその資金を調達するため、支払利息の負担も大きくなります。これらの費用については、資産の減価償却や企業債の償還が進むことにより徐々に減少していくことが見込まれます。

【都営地下鉄の乗客1人当たりの収益と費用(平成22年度)】

※資本費=減価償却費+支払利息

都営バス

平成22年度の乗客1人当たりの運賃・関連事業収入等は173.7円、受取利息等が18.9円で、合わせて192.6円の収益に対し、費用は大きな順に、乗務員の人件費などバスの運行に係る費用が123.7円、運行や営業の管理に係る費用が23.5円、車両等の減価償却費が16.9円となっており、総費用は187.5円です。
バスは、地下鉄と比べて施設等に対する投資が少ないため、運行に直接かかる費用の割合が大きくなっています。

【都営バスの乗客1人当たりの収益と費用(平成22年度)】

都電荒川線

平成22年度の乗客1人当たりの運賃・関連事業収入等は148.9円、受取利息等が4.4円で、合わせて153.3円の収益に対し、費用は大きな順に、乗務員の人件費など電車の運行に係る費用が50.3円、減価償却費が32.2円、車両の維持管理が22.7円などで、総費用は153.1円です。
都電は、地下鉄と比べて施設等に対する投資が少ないため、運行に直接かかる費用の割合が大きくなっています。

【都電荒川線の乗客1人当たりの収益と費用(平成22年度)】

日暮里・舎人ライナー

平成22年度の乗客1人当たりの運賃・関連事業収入等は183.2円、受取利息等が3.4円で、合わせて186.6円の収益に対し、費用は大きな順に、減価償却費が103.4円、駅等の営業が38.3円、電気設備の維持管理が38.2円などで、総費用は272.0円です。
開業して間がないため、設備や車両などの減価償却の割合が大きくなっています。

【日暮里・舎人ライナーの乗客1人当たりの収益と費用(平成22年度)】

※資本費=減価償却費+支払利息

上野動物園モノレール

平成22年度の乗客1人当たりの収益119.4円に対し、費用は大きな順に、乗務員の人件費など運行に係る費用が44.2円、車両の維持管理が27.4円、電気設備の維持管理が8.3円などで、総費用は91.1円です。

モノレールは、施設を保有していないため、資本費負担は発生しません。一方、事業規模が小さいため、不測の障害などの事情が生じると収支が影響を受けやすい傾向にあります。

発電

平成22年度の販売電力量1キロワット時当たりの電力販売収入等6.1円の収益に対し、費用は大きな順に、発電所の維持管理が4.4円、業務の管理に係る費用が0.8円、送電設備の維持管理が0.2円で、総費用は5.4円です。

監理団体の活用 ステップアップ2010


監理団体社員による荒川線の点検

平成22年4月1日、東京交通サービス㈱は、交通局を支援し補完する団体としての位置付けを明確にし、これまで以上に、地下鉄事業等の保守業務を安定的かつ継続的に実施できるようにすることを目的として、東京都監理団体に指定されました。
交通局は、当団体との一体的な事業運営体制及び安全管理体制を構築することにより交通局の責任で行う業務を分担し、当団体を安全・安心の確保と経営の効率化の両立に寄与するものとして積極的な活用を図っていきます。