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写真: 第2回 都営地下鉄の浸水・耐震対策

9月1日は防災の日。その日を中心とした一週間の防災週間に合わせて『東京防災』の公式キャラクター、防サイくんが都営交通に遊びにきてくれました。防サイくんが都営交通の防災についてレポートしてくれます。

第2回都営地下鉄の浸水・耐震対策

今回は都営地下鉄の浸水への対策と、高架下の柱の耐震対策について調査しました。
まずは浸水対策の見学へ。向かった場所は都営三田線の西巣鴨駅の近く。こちらに「浸水防止機」があるそうです。浸水防止機について説明していただくのは日高さんと保線担当のみなさんです。普段はグレーチング(格子状の蓋)で守られている通風口(地下鉄構内換気のための開口)の中に設置されているため、みなさんにグレーチングをはずすところから始めていただきました。

固定してあるボルトを緩め、重いグレーチングをはずします。
固定してあるボルトを緩め、重いグレーチングをはずします。
深い穴が出てきました。こちらが地下鉄の通風口。防サイくんの向かい側にある取っ手のついた鉄板が浸水防止機です。
深い穴が出てきました。こちらが地下鉄の通風口。防サイくんの向かい側にある取っ手のついた鉄板が浸水防止機です。

−えっと、「浸水防止機」ってなんですか?

「浸水防止機は、主に地下鉄の通風口に設置されている器具です。晴れている時は開いているんですが、大雨などの浸水時には閉まって地下への水の侵入を防ぐ役割があります。ちなみにこの浸水防水機は全部の通風口に付いているものではありません。新宿線と大江戸線は機械で換気しているので、そもそもこういった通風口はないため、都営線では三田線と浅草線にしかないのです。また、ハザードマップの浸水対象地域のみに設置されており、三田線の通風口は全部で124カ所、そのうち浸水防止機がついているのは68カ所です」

−たくさん雨が降ったら、自動で閉まるんですか?

「3種類の開閉方法があります。1つめは駅からの遠隔操作、2つめは水がたまると自動的に閉じる仕組みの浸水感知器の作動、3つめは手動です。浸水感知器は鉄板の真ん中に付いていて、上側の網の部分で水を感知します。手動は停電にでもならない限り、ほぼ使わない方法です。駅からの遠隔操作が頻度としては一番高いです。
まず、気象庁で大雨洪水警報などが出ると、総合指令所から駅の方に自動的に連絡が来ます。それを受けて一斉に遠隔操作で浸水防止機を閉めます。雨の量ではなく、警報が出れば念のために閉めるようにしています。
今回は駅からの操作で開け閉めしてもらいましょう。今から西巣鴨駅事務室に電話します」

駅からの遠隔操作で自動でゆっくりと閉まっていきます。
駅からの遠隔操作で自動でゆっくりと閉まっていきます。
完璧に閉じました。これでもう地上からは水が入ってきません。
完璧に閉じました。これでもう地上からは水が入ってきません。

−鉄板の上にたまった水はどうするんですか?

「雨が止んだ後、たまった水は鉄板を開けて線路内の側溝に流します」

−駅の出入口から水が入ったらどうするんですか?

「駅側の防水としては、例えばゼロメートル地帯と言われている場所にある駅は、入り口の階段を数段上がってから下る構造になっていて、浸水を防ぎます。それ以外の駅では、止水板を駅出入口に設置することで、浸水を防ぎます。万が一、駅に水が入った場合はポンプで抜きます。都営地下鉄は56年の歴史の中で、列車が冠水したことは一度もないんですよ」

−すごいですね!今度は駅の中のスイッチを見せてくだサイ!

こちらが西巣鴨駅管轄の浸水防止機を遠隔操作するパネルスイッチ。
こちらが西巣鴨駅管轄の浸水防止機を遠隔操作するパネルスイッチ。

「スイッチが緑に光っているのは浸水防止機が開いている状態、赤く光っているのが閉じている状態です。今は全部開いている状態です。自動で閉まった場合は、こちらのランプも自動で切り替わります」

−なるほど〜、これなら地下の浸水の心配はなさそうですね。安心しました。
次は都営線の高架下の耐震補強について、西台駅近辺を調査させてくだサイ!

「鋼板巻き立て」という方式で耐震補強された高架下の柱。
「鋼板巻き立て」という方式で耐震補強された高架下の柱。

−なんで耐震補強工事を始めたんですか?

「耐震補強工事のきっかけは、平成7年に起きた阪神淡路大震災でした。その地震に対する補強工事を同年から始め、終わったのが平成22年度でした。しかし終わってすぐに東日本大震災が起き、更に追加補強で平成24年度から耐震補強を始めました。東日本大震災の震災地周辺の施設では躯体は壊れなかったものの、電車の運行再開に数か月程度かかってしまったということで、都営地下鉄では施設の安全性をより高め、早期の運行再開を図るため更なる耐震対策を進めています」

「一面補強」という方式の耐震工事は、工費も時間も最もかかる。
「一面補強」という方式の耐震工事は、工費も時間も最もかかる。

−どんな工事なんですか?

「補強方法はいろいろあって、柱全体を巻く「鋼板巻き立て」、一面だけに鉄板を立てる「一面補強」があります。一面補強は近くに建造物などがあり、鋼板巻き立てが使えない場合に行う方式です。こちらの鉄板の厚さは12mm、ボルトは柱の幅の8割くらいの深いところまで入っています。
鋼板巻き立ての方は、コの字の形の二つの鉄板を作って両側から柱を包み込むように合わせ、柱との隙間にモルタルを流し込んで補強しています。柱の太さや高さは場所によって違うので、一つ一つ測ってそれに合わせた鉄板を作らないとなりません。ちなみに地下2mくらいの深さにある地中梁から補強しないとならないので、一度柱の周りの地面を掘って、地中梁まである長い鉄板を組みあわせ、また埋めています」

−ほんとだ!柱の周りの地面の色が違ってますね。工事にどのくらい時間がかかるんですか?

「鋼板巻き立ては1本につき1ヶ月ほど、一面補強は1本につき2ヶ月ほどかかります。地下鉄駅構内の柱では、RB(リブバー)工法というやり方もあります。こちらは1本を3日ほどで完成させることができます。まず高架部を優先してやっていますが、地上部だけではなく地下部の柱も耐震工事をしています。地下部の場合は柱の周りにいろんな設備が配置されているので、まずそれを移動してから工事しないとならないので大変です。今、高架部を中心に工事を行っていますが、地下部の工事も始めています」

−どうかみんなの安全のために、がんばってくだサイ!

高架下の耐震対策についてご説明くださった伊藤さん、ありがとうございました!
高架下の耐震対策についてご説明くださった伊藤さん、ありがとうございました!

次回は都バスでの防災対策について、防サイくんにレポートしてもらう予定です。

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