想いを運ぶ東京都交通局の仕事

交通技能[電気]

車両電気部
浅草線電気管理所 信号通信区

芦澤 龍美

2017年入局

高校卒業後、販売職を経て郵便局に就職し、配達業務に従事する。その後、電気工事関連の職業に就くため職業訓練校の制御システム科に入校。もともと生活インフラに関わる仕事に興味を持っていたところ、東京都交通局の採用を知り、東京を支える仕事に惹かれて応募を決める。

「絶対安全」はない
保守の緊張感
安全運行の裏側で、
多様な設備を守り続ける

仕事と魅力

信号や通信などの電気設備を
チームワークで守り続けていく

浅草線電気管理所では都営浅草線の電気設備全般の維持管理を行っており、信号通信区に在籍する私は信号設備と通信設備の保守を担当しています。保守の対象には信号機や転てつ機(ポイント)、電話や無線設備、放送、案内表示、時計などがあり、それぞれの点検周期に従って巡回検査を行っています。また、障害が起きた際には早急に現場に向かって問題を解決することも業務の一つです。
私たちが管理する設備の種類は多岐にわたり、電車の運行している日中には点検できない設備も多いため、班ごとに分担しながら検査を行います。保守の全体計画は膨大なものとなり、さらに深夜作業の際には始発までに必ず作業を完了させる必要もあるため、チームワークがきわめて重要となります。
かつての私自身もそうでしたが、普段電車に乗っていても、その裏側を意識することは滅多にないと思います。信号や通信設備はあまり目立たない分野かもしれませんが、電車が安全に運行するための「縁の下の力持ち」として、東京の生活インフラを支えている重要な仕事です。

画像:芦澤龍美

想いとエピソード

問題がないはずの装置に不具合発生
「絶対に安全」はないことを知った

保守とは、「当たり前」の状態を守り続けることです。しかし「当たり前」を守ることは簡単ではなく、実は多くの人たちの不断の努力で成り立っています。私がそのことを本当の意味で知ったのは、先輩と一緒に巡回検査を行っていたある日のこと。本来、次の交換まで時間があるはずの転てつ機の一部に不具合があることが判明したのです。その場では予備を持ち合わせていなかったため、先輩は至急他の駅に交換品を取りに行き、大事になる前に対処することができました。
転てつ機は、仮に不具合があれば電車の運行ができなくなるという重要な設備です。しかし、その時の不具合は見た目では判断しにくく、経験の浅かった当時の私では気付くことができませんでした。交換周期が先であっても、保守においては「絶対に安全」ということはなく、常に疑ってかかる慎重さが大切だということを学びました。
それ以来、私は点検を「こなす」だけでは不十分だという意識で、どんな小さな不具合も見逃すまいと、五感を働かせながら業務に当たっています。

夢・目標

ホームドアなど新たな知識を学び続ける
そしていつかは、後輩に教えられる存在に

浅草線では、お客様にさらなる安心と安全を提供するため、全駅へのホームドア設置に向けて準備が進んでいます。ホームドア設置に伴って維持管理する周辺機器はますます増えていきますが、お客様の転落防止に役立つと考えると勉強も苦になりません。
今の私と先輩を比べると、知識だけではなく考え方や観点も違い、自分の未熟さを痛感することばかりです。私とは経験値がまるで違うので仕方がない面もありますが、少しでも早く追いつきたいと知識習得に励んでいることもあり、徐々に成長できていると感じます。もちろん、先輩が優しく時に厳しく指導してくれることも大きな支えになっています。
今は信号通信区内で私が一番の若手ですが、いつか後輩が入ってくる日が来るでしょう。その日に向けて、私も先輩のように技術と知識と経験を身に付けて、後輩に伝えられるようになりたいと考えています。そして、やがては班のリーダーである班長として、その日の作業を任されるようになりたいです。

画像:芦澤龍美

4Question

  • 今の仕事、「ここを見てほしい」といえば?

    浅草線電気管理所では、作業効率向上のため、新しい特殊作業車(モーターカー)をいち早く導入しました。今まで手作業で清掃していた箇所をモーターカーで高圧洗浄したり、高所作業も容易に行えたりと、効率が大幅に改善しました。車両やホームドアだけでなく、裏側の作業環境も進化していることを知ってもらえると嬉しいですね。

  • プライベートは何をしている?

    旅が好きで、バイクでキャンプに行ったり、同僚たちと一緒に旅行に行ったりしています。基本的に、保守は点検のスケジュールが決まっていることもあり、職場内で協力すれば1週間程度の連休を取ることも可能です。私も以前1週間程度の休みを取り、台湾や沖縄に旅行に行ったことがあります。

  • 入局して一番成長したところは?

    様々な可能性を考慮しながら、広い視野で物事を見るようになりました。設備に不具合が起きた際、もっとも大変なのは原因を探ることです。例えば、不具合が検知された装置を見に行ってみると、なぜか不具合が見つからないということもしばしば。そんな時は該当箇所以外にも目を向け、違和感のある箇所を探すようになりました。

  • 未来の仲間に一言

    保守管理は決して華々しい仕事ではありませんが、「安全」という普通の日常を繰り返していくためには必要で、やりがいのある仕事です。ぜひ一緒に、東京の生活インフラを支えていきましょう。

画像:芦澤龍美

ワンデイスケジュール

  • 8:00

    出勤

    制服に着替えて、その日の点検項目をチェックします。

  • 8:30

    引継ぎ・打合せ・作業準備

    前日の作業について情報を共有します。当日に実施する作業の打合せを行います。

  • 9:30

    作業開始

    浅草線の各駅に移動し、巡回検査を開始します。昼間は装置の緩みのチェックや、ホーム上のモニターや機器の清掃などを行います。

  • 12:00

    昼休憩

    休憩は駅で取ります。

  • 13:00

    作業再開

    引き続き検査を行うとともに、障害発生時には迅速に対応します。

  • 17:30

    作業終了・仮眠

    夜間作業の打合せや作業の準備をします。作業の注意事項を確認し、事故防止に努めます。なお、常に障害に対応できるように準備しつつ、大門庁舎の休憩室で仮眠を取ります。

  • 0:00

    現場へ移動

    終車に合わせて庁舎から現場へ移動します。

  • 1:00

    夜間作業開始

    電車運行中の昼間には入れない箇所の設備の点検・修理を行います。転てつ機や信号機の点検は夜間に行います。始発までの短い時間内に作業を確実に済ませます。

  • 5:00

    作業終了

    始発までに作業を終えて管理所に戻ります。

  • 8:30

    引継ぎ

    翌日の勤務班に作業を引き継ぎます。

  • 9:00

    退勤